「特定技能」制度で来日するのベトナム人は、現地でどのような日本語教育を受けているのか?気になりますよね。
今回は、ベトナムの首都ハノイ市の送り出し機関で、日本語教育の日本語教師をされていた方から、貴重な体験談を聞くことができました。 ベトナムでの日本語教育の実施内容および指導時に工夫が必要だった点をなどをお届けします!
ベトナム送り出し機関における「日本語授業」 って?
現地ではどのくらいの期間、どんな教材で勉強するんですか?
私が勤務した日本語学校では、90分×4コマの授業が平日毎日行われており、私自身は1日3コマから4コマの授業を担当していました。教材は「みんなの日本語」というテキストを使用し、基本的にはテキストに沿って、順に講義を行うというスタイルで指導が行われていました。 私が教えた研修生の方々は、日本語を学習して6か月のクラスでした。
どんな授業をするのですか?
私の在籍時は3人のベトナム人日本語教師の方が指導をされており、日本人として私に求められたのは、研修生の方の「話す力」と「聞く力」を向上させることでした。
従って、ベトナム人の先生方と、指導する内容に関して着任当初に役割分担を決めました。ベトナム人の先生方には新たな文法の講義・ご指導を頂き、日本人である私は練習問題を一緒に解き、会話の練習、発音の修正などに注力し授業を実施しました。
ベトナムでの日本語教育ー「具体的な指導内容」
次に具体的な指導内容をご紹介させて頂きたいと思います。
会話練習
まず、授業の初めの10分は会話の練習を必ず行いました。すでに6か月間、日本語を学習した方々でしたが、会話には不慣れな部分が目立ちました。簡単な問いかけに関しても、不意に話しかけられると、戸惑いなかなか言葉が出てこない様子でした。
ですので、既に学習した内容で、例えば「今日は何時に起きましたか」や「朝ごはんは何を食べましたか」など様々な質問をランダムにテンポよく、そして一人ずつ、全員に当てていくという形式をとりました。これによって、研修候補生の方々は、日本語で話しかけられることや咄嗟の返答にも慣れ、全文を聴き取れなくても、キーワードを聞き取って反応するということに慣れて頂くことができました。
テキストを使用しての発音・会話指導
次に主な授業の内容としては、みんなの日本語の練習問題と会話の指導を行いました。
練習問題では、時間を区切った中で、問題を解きノートに書いてもらいました。その後、生徒をあて、黒板に答えを書いてもらい、その生徒に書いた文章を読んでもらいました。そして、私が発音を訂正した後、全員でその文章を読むという形式をとりました。また、緊張感をもって授業に取り組んでもらうため、隣の人とノートを交換し、採点しあうということも実施しました。
テキストで紹介されている会話の練習に関しては、授業にメリハリをつけるため、全員に立ってもらい隣の人とペアを組み、練習文を読み終わったペアから座ってもらうようにしました。
その後、挙手制で発表をしてもらい、終わったペアから座るという形式をとったことで、なんとなくダラダラと会話を読むといった雰囲気がなくなったのが良かった点です。
リスニングを兼ねた日本文化の紹介
日本人の私ができることとして、日本の生活文化や習慣の紹介をリスニングの勉強も兼ねて日本語で行いました。具体的には、日本の組合の方からのご要望に応じ、時間厳守や日本での生活マナーに関しお話をしました。
例えば、ベトナムではゴミの分別は行われておらず、また食堂では地べたにゴミを捨てるといった慣習も未だに残っています。また、いわゆる騒音にも寛容で、隣の家が大きな声で騒いだり、カラオケをしていたりといったことも日常茶飯事です。日本とは異なる生活文化を持っているため、このような感覚を持って来日すると、後にトラブルにつながるケースもあります。
研修生の方々が来日後、日常生活に困ることなく仕事に集中できるよう、生活をする上で必要な日本文化をレクチャーしました。研修生の方々にとっても、自分たちの生活に直結することから、興味をもって話を聞いてもらうことができ、多くの質問を受けた時間となりました。
作文の宿題
自然な日本語を習得してもらう為、唯一のネイティブスピーカー(母語話者)として、毎回、作文の宿題を出しました。テーマは、「私の家族」や「週末にしたこと」など様々なものを出し、教科書の例文を覚えるだけでなく、できる限り自分の考えを言葉にする機会をつくりました。
作文の宿題を出すことで、今までは教科書に出てきた言葉や文章を読み覚えるということが中心でしたが、「自分が言いたいこの単語は日本語では何て言うのだろう」と思ってもらえる機会が増え、日本語に関する質問が増えました。
日本語の歌の紹介・「て形」の歌
また、発声の練習を兼ねて日本語の歌を紹介し、クラス全員で歌うことも行いました。
そして、外国の人にとって難しい日本語文法の一つである「聞いて」「飲んで」「食べて」等の「て形」も、「て形」の歌を紹介することで、比較的よく覚えてもらうことができました。
ベトナム人の日本語 指導の際に工夫が必要だった点
会話の練習経験が少なく、当初は声を出すのも恥ずかしがっていたこと
一般的なベトナムの学校教育でもよくみられることですが、学校の授業では講義型のものが多く、授業に対して受け身な姿勢が多くみられました。また、当初は間違ったり、声を出したりすることさえ恥ずかしがっている様子が見られ、音読などでも声が小さかったり、発音をはっきりしなかったりする人が多くいました。
日本語を発声する・話すということに慣れてもらえるように、日本語の歌を歌うリクレーションや会話の練習を毎回行いました。
遅刻、授業中の携帯マナーなど基本的な日本の常識の徹底
着任当初に驚いたのは、毎回、数人が遅刻したり、授業中に携帯電話がよく鳴ったりすることでした。生徒の方々は日本で働くことを目的としている為、この点に関しては他のベトナム人の先生方より厳しく注意を続けました。
とにかく根気よく注意を続けましたが、当初はこちらの真剣度がなかなか伝わりませんでした。そこで、途中からは、遅刻や携帯電話のマナーを守れない人は送り出し機関の部長に報告をするなど、本人がちょっとしたことだと思っていることでも、こちらは許さないという意思表示をはっきりとし、改善の方向に向かわせることができました。
ベトナム人が苦手な音や発音の指導
日本人が英語でRとLを区別して正しく発音するのが難しいように、ベトナムの人にとっても発音しにくい日本語の音があります。
例えば、「つ」がなかなか発音できず「ちゅ」となったり、ザ行・ジャ行・ヤ行の聞き分けが難しかったりということがあります。また、日本語を聞きなれていない為、発音やイントネーションが独特な場合も見られました。
この点に関してはあまり神経質にはなりませんでしたが、可能な範囲で気づいた時に正しい発音を聞いてもらい、復唱してもらうことを心がけました。
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